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    MADE IN FRANCE への胎動、ミシュラン・セナール氏の決断

    • 2013.06.15 Saturday
    • 19:58
     すっかりご無沙汰のこのブログだけれども、なぜか日にアクセスが1000以上あることもあり、これもひとつのロングテールなのか……と感心することしきりである。さて、今日は我が優秀な特派員からおもしろい情報を聞き込んだので、こちらでご紹介しておこう。


    ミシュラン・セナール社長、大いなる野望

     先日、日本国内で「仏ミシュラン 、国内で700人の削減を発表」というニュースが流れていた。この辺りの裏事情が現地フランスではどう報道されているのかについて調べてみたところ、とても興味深いセナール氏の野望が見えてきた。そこで、現地のウェブ情報をもとに、彼の大いなる野望についてご紹介する。テーマは、「西洋の脱産業化などありえない」というものである。こちらが、ミシュラン社長のジャン・ドミニク・セナール(Jean-Dominique Senard)氏である。

     


    西洋の脱産業化などありえないと叫ぶセナール氏

     ことの発端は、去る6月10日、フランスのタイヤメーカーであるミシュランが独自のリストラ計画を発表したことに始まる。ミシュランは、この発表で、フランス国内のジュエレトゥール(アンドル・エ・ロワール地方)工場の730人分の人員ポストを解雇すると発表した。


     といっても、遠く日本に住む私たち一般人には「だからなに?」という程度のことかもしれない。 しかし、アメリカの大手投資家たちにとっては、これは重大な関心事である。このニュースを受け、アメリカ大手投資家たちは、リストラそのもののには賛成しているものの、ミシュランがぶちあげた「その他のフランス国内自社工場に8億€の投資を行う」ということに対して猛烈に反発している。


     冒頭でご紹介したミシュランのジャン・ドミニク・セナール氏は、この猛反発に対して、「フレンチ・バッシングは良くない。そろそろ西洋の脱工業化・脱産業化が当たり前になるという諦めの概念を捨て、私たちは立ち向かわなければいけない時代に入っている」、「西洋の脱産業化などありえない」と、冷静かつ確信をもって、アメリカ投資家たちに反論している。



    解雇となった社員も最後の最後まで見捨てない

     セナール氏は、「730名の人員解雇を発表はしたものの、解雇対象となった社員をそのまま切り捨てるわけではない」とし、「再就職・再雇用先をきちんと確保し(=国内のミシュラン工場内で2つのポストを提案)、それに伴って必要となる異動や子供の就学先、配偶者の仕事に対する対応なども考えている」と語っており、「我々はずっと『ミシュラン社員』であり続ける」と胸を張る。


     以前にも同じようなリストラを行った際(2009年Toul工場の閉鎖)、「全ての解雇対象となった従業員が再就職できた」ということが前例となっているため、今回のリストラ策でも、200人から300人程度は早期退職者枠を設け、断固として「国の世話には一切ならない」と一企業たるプライドも維持している。なにかと社会福祉手当の厚い社風を維持してきたミシュランならではである。


     このフランス大手企業であるミシュランのリーダー、セナール氏は、その他の企業人に比較して特別にフランス産業に対する信念が強いといわれている。今月6月6日に、HEC(=高等商業専門学校、グランゼコルのひとつ)章を受賞しているが、やはりこのような超エリート養成学校から、このような優秀な人材が輩出されてきていることが興味深い。日本でもはやくグランゼコルのような超エリート養成機関を導入していただきたい。



    フランス本土にこそ大規模な投資を

     彼の発言をいくつかピックアップしてみると、


     ● 2019年までに Roche Sur Yon の工場に500ポスト用意し、世界に誇れる規模の工場に育てあげ1億€をそこに投資する予定である。これによって、この先15年から20年は生産力が2倍となり、世界に対抗できる戦力となる。

     ● Montceau-les-Mines の工場には1億7000万€を投資予定である。

     ● puy-en-Velayに5000万€、トロワ工場に800万€、そして本社を構えるクレルモン・フェランには2億5千万€をそれぞれ投資する。


     このように、次々と国内投資の計画を発表し、「合理化を図ることでフランスの競争力を実証し、その力を世界に誇示することができる」ことを主張している。セナール氏は「自身の単なる愛国心からではなく、あくまでも市場の動向と、自社のもつ商業潜在力を分析した」としており、自社の商業潜在力により、フランス本土にこそ大規模な投資を行うべきであると語っているわけである。


     この辺り、世界に出かけていき、大規模格差社会を容認して日本の国内産業空洞化に諸手をあげて喜んでいる衣料メーカーの経営陣にも聞かせたいものである。



    国土を中国人に取られてしまうという危機感

     日本も今でこそ、チャイナリスクが叫ばれているが、つい先年までは中国に進出する企業が非常に多かった。2000年前後のフランスも、日本と同様に、多くの企業が海外に進出し、海外投資に沸いた時代であった。


     しかし、セナール氏は、「これからはそうはいかない」と語る。「この先15年以内に(フランス国内)の大手企業のリーダーたちは、それぞれの持つ大きな市場に工場を分散させて配置させることになるだろう。それをせずに自国から立ち退き、海外に進出などしてしまったら国土を中国人たちに取られてしまう」と危機感を募らせている。


     日本がなくなっても自分の会社が残っていれば問題ないという国内企業が多い中、こういう発想の経営者がフランス国内にいることに羨ましさも感じてしまう。


     セナール氏はさらに、「超巨大企業に対して何の準備しないまま、あるいは小さい工場のままで対抗しようと思っても、ここ5〜6年以内に乗っ取られてしまうだろう! これは一刻を争うことなのだ」と警鐘を鳴らしている。「アメリカが文句をつけてこようが、その他欧州諸国から非難を浴びようが構わない。大きな工場をフランス国内に建てることが至急求められていることなのだ」とセナール氏は訴えている。



    脱国内産業空洞化成功の特効薬

     セナール氏のように、国内産業へのテコ入れを急ぐ動きは、現在25歳以下の失業率が55.7%にまであがったスペインにもみられる。また、自由民主主義国家であり資本主義の先兵であるアメリカ国内ですら、国内産業空洞化に対抗する手段を取って立ち直った町がある。自動車産業で有名なデトロイトは「4年前まではゴーストタウンのようだったのが、今年1月のモーターショー開催で大盛況となった」とされており、産業空洞化への対策が効き始めていることが報告されている。


     これらの例に共通していることは、社会福祉関連について、経営陣と労働組合との間できちんと協議がなされたことにあるとされている。今回の730人のリストラ宣言をした際にも、セナール氏はミシュラン労組からくるであろう反撃を想定していたことから、社会福祉の待遇に関してはぬかりなく対処することを強調した。


     セナール氏は、「こういった行動をとることで今後の労働法・労働基準法を見直すきっかけにもなる。社会的処遇の枠組みを改めて確認できるきっかけとなり、全体的に良い方向に向かうと確信している」と語る。とはいえ、労働権が及ぶ範囲はフランス国内でも複雑であり、世代も異なることから、まだまだ課題は多いが、いずれにしてもセナール氏は今回のことを通してフランスの労働法までをも再検討するきっかけを与えていると報じられている。


     もちろん、肝心の解雇対象となった同工場の従業員全員が、完全に解雇について納得しているわけではない。雇用は確保したとはいえ、過去にも何度か工場の移転を強いられた工場従業員もいる。賛否両論あるとはいえ、ここには私企業ならではのミシュラン独自の社風というものも大きく影響しているそうである。



    国内産業は経済サービスよりも重要

     セナール氏は、あくまでも古き良き時代のミシュランの『私企業としてのこだわり』を死守しようと譲らない。完全私企業とはいえども、国との関係は密接に保っている。フランス政府と経済産業省も、今回の発表を受けて「フランスはフランスなりの立ち位置を維持しなければいけないが、そのためには国内産業の変動も時には伴う」と、セナール氏の発言や行動を概ね承認している。


     セナール氏の経営者としての考え方はシンプルである。それは、「国にとって産業とは経済におけるサービスよりも重要である」として、「国内の雇用を確保するためには、まず国内にこそ大規模な投資を行うことからスタートすることが必要不可欠である……」ということである。


     MADE IN JAPAN なんて夢物語だと諦めてしまう経営者が多い中で、フランスではすでに MADE IN FRANCE への動きが始まっている。セナール氏が危惧するように、そうでなければ国内は食い荒らされてしまうかもしれないのである。


     大規模な投資は、国内に投下すべきであるという持論を、このセナール氏がみずから実行してくれたことに拍手喝采である。浮き草のように海外に出ていく大企業、国内回帰して国内に大規模な投資をする大企業……。みなさんはどのような会社を選択するだろうか? みなさん自身、みなさんの親戚、みなさんの子どもたち、みなさんの友人や知人たちの雇用が確保された方がいいに決まっているのである。そんなことを考えさせられるセナール氏の行動である。


     ともあれ、このセナール氏の発言や行動を通して、ミシュランに代表されるフランス企業も、中国人の席巻に恐怖を抱いていることがわかる。フランスを代表する大企業の経営者として、国内に大規模な投資を行っていくという力強い宣言は、こうした中国人の動きに対して断固対抗していくという決意の表れなのかもしれない。


     参考記事
     Michelin a préparé avec soin son plan de restructuration pour éviter qu'il ne soit contesté

     Jean-Dominique Senard (Michelin): "il n'est pas question de licenciement"

     
     この記事はガジェット通信Aニュースにも投稿しました。
     MADE IN FRANCE への胎動

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